引用元:BIKEEXIF
並列4気筒DOHCエンジンを搭載するカワサキKZ1000(北米仕様)は1970年代後半から1980年代に生産されていた近代的なスーパーバイクの中で最速と言われていました。
1981年にスロベニアで『J』モデルが農場に捨てられているのが発見された時、この写真のKZ1000は単なる抜け殻のようなスカスカな状態でした。
その農場では自家製のワインを生産していたらしく、その発酵の一部がバイクに移行したように見えた程、車体の傷みは激しかったと言います。
車体はトラクターの部品にテープで固定されていました。タンクの塗装も酷い状態で剥げ落ち、フレームの溶接部分も一部は外れていましたが、カスタムビルドを手がけている“krakenhead Customs”としては完璧なボディを手に入れる事ができました。
しかし、最初にいくつかの深刻な修復作業がありました。
車体に残されていたパーツすべてを丁寧に分解した結果、エンジン内部とギアボックスはまだ奇跡的に良い状態であったことを発見しました。しかし、それ以外の部品については劣悪な環境に放置されていたため、新しく全てを交換する必要がありました。
交換部品の必要なリストは膨大な数になりました。ホイールから車体フレーム、ベアリング類、ステンレス鋼製締結用部品や電装系については関連する全てのパーツを交換するのは非常に手間とコストの掛かる作業になると思われました。
特にサスペンションは大幅に向上してきました。新しいモノショックは完全に調整可能な昭和のショックに接続されている特注のアルミスイングアームで構成されています。
BEHRの17インチスポークアルミホイールは走行時の負荷を見事に軽減しています。これらは、ピレリファントムSportscompゴムにフックアップしています。
大規模なブレーキのアップグレードもあります。マスターシリンダーはフロントスポーツ320mmローターとトキコ6ポットキャリパーにおける半径方向の設定でブレンボ製です。リアの方は、より小さなローターで2ポットブレンボ製キャリパーを実装しています。
ちょうど彼らのお気に入りの市販のビットを選んだようですね。すべての部分に合わせて改造するための独自の測定を必要としなかったので、ここは非常に簡単な作業になりました。
4-2システムの排気系マフラーの製作は、316ステンレス鋼から精密に加工したカスタムショップの手作り品です。出来上がって初めて出される排気音を想像すると立ち眩みがしそうだったと言います。
KZ1000Aから流用した燃料タンクにはイグニッションキー、埋めこまれてスッキリと収まっているデジタルスピードメーター、点火と警告ライトが付いているまったく新しいヘッドユニットです。通常のコックピットを無くした仕上げにする為、ミニスイッチ等の全てがタンクに統合された完全なカスタムクリップオンが完成しました。
このKZ1000は100以上の改造ヵ所があり、おそらく他のショップでビルドされた場合、かなりヘビーウェイトな車体重量を持つバイクになっていた事でしょう。
近代的なコンポーネントを持ち、軽量で理想的な取り扱いが出来るバイクとして蘇ったKZ1000カスタムバイク。そして、その深いキャンディレッドに塗られた美しい車体が「レッドルースター」という名の由来になっています。
それは私たちを夢中にしている、それだけです。